pua nānā lā

おひさまのような花

◇鼓動

鼓動、この曲名のつけ方がまず好きです。
あまりにシンプルに実直に、生きるということを表していて。

 

そっと自分の心に問いかけ言い聞かせるようなAメロ、
だんだん胸が高鳴りやがてそれが抑えきれずに走りだして、
サビで一気に翼を広げた瞬間に
ばっと視界が開けるようなメロディー変遷に
これ以上ないほどマッチした秀逸な歌詞。


あの空が消え果てたら星を目指してみようか
あの空が消え果ててもいつも笑っていようか


だけど、最初はわからなかったんです。
「辛くても前を向いて。」「転んでも立ち上がれ。」なんて
同じようなメッセージを持つ使い古された言葉がいくつもある中で、
なぜこのフレーズがそれらとは比べ物にならないほどの切実さで
こうも胸に差し迫ってくるのか。

 

考えて考えて、そしてそれは、
そこに「生きることへの覚悟」があるからではないかと。
だからこれほど、痛みを感じるほどに突き刺さり、
目を背けたくなるほどに目映いのではないかと思いました。


わけもわからぬままこの世に生まれ、
何のためにあるのかも知らない毎日を過ごしていく。
生きるってそういう単純なことなんだろうなぁと。

明確な理由や崇高な使命なんてものは皆もともと持ってなくて、
それなのにどんな辛いことがあっても続けなくちゃならなくて。

 

ある意味、それは絶望的なことかもしれません。

燃え尽きそうになるまでその身を焦がして
ぼろぼろになりながら歩いたところで目的地なんてどこにもない…


それでも自分に与えられた命を引き受けて
目一杯、力の限り生きてやれという覚悟がこの歌にはある気がします。


どうして?

だって、


いつまでもこの胸の鼓動 夢に向かって叫んでいるんだろう?


終わらない夢を持ちそれを追いかけ続けることだけが、
始まりやがて終わっていくだけの空虚な人生に
かけがえのない意味を与えてくれるものなのかもしれません。

 

end.