pua nānā lā

おひさまのような花

◇未来航海


「航海」

 

これはもうジャニソンの世界観を作り出すモチーフとして
ひとつ確率されたものであるように思います。

 

すぐに思いつくものだけでも
関ジャニ∞の「旅人」やKAT-TUNの「GOLD」、
それに舞台ANOTHER劇中歌の
「ANOTHER TOMORROW」など…


こんなイメージからなる歌詞の曲は数え切れないほど。


――― 夢を乗せた船に乗り込み、大海原へ漕ぎ出す

そこには一体なにがあるでしょうか。

まず、別れ。
そしてその先に待つのは、非日常・希望・不安・夢・郷愁…

どれもきらきらと若々しい少年の瞳に映ると
より一層美しく輝く宝石のようなものな気がします。

そしてこれこそ、
ジャニーズの世界観であってコンセプトではないかなぁと。


今回の「未来航海」は、まさにそんな一つ一つを
宝箱にぎゅっと詰め込んだような一曲。

ファン心理を掴むための仕組みも隠されていたりして、
ジャニーズそのものがすきだという人なら
無条件にすきになってしまう曲のような気がします。


この歌詞、まず何がいいって歌いだしがものすごくいい。

 

オレンジ色の遠い水平線に
 今日の風吹く 夜明けの海渡ってく

 

この一行だけで、まるで同じ船に乗り込んだみたいに
目の前に朝焼けの海の光景が広がってきませんか?

ふるさとの港はもう見えなくて、大海原のど真ん中。

目覚めてデッキに出ると空はまだ暗いけど、
先に見える水平線の方はもうオレンジ色に明るんできていて
そこにはこれから始まる一日の風が吹いている。

未来への希望が満ちてくる心にふと霞む、
本当にもう戻れないという気持ちと。

 

なんだかもう私はここだけでじんわりきてしまいます。


そして、目指すのは「あの場所」。

いつの頃からかずっと夢見てた、憧れの地。


それがどこかを歌い手に、
そして聞き手の想像に任せるのが、この歌の懐の深さです。

それぞれの心にある目的地へ、
「きっと行けるさ」「きっと行くんだ」と励ます響きが
なんとも頼もしくて、優しくて、あたたかくて。

まだまだ先だと思っていた島も
夕日が沈む頃には地平線の向うに見えてくるんじゃないか…
何だかそんなふうに思えてくるんですよね。


それから、冒頭に書いたある「仕組み」について。

これってジャニソンならではだなぁと思うのが、
歌詞の中にその世界からふっと浮き出るように
歌い手自身の言葉としてとれるような部分があること。

 

一人じゃ見れない夢を見るんだ
この瞳を信じていて

そして、「きっと行くんだ、あの場所へ

歌い手であるアイドルの心情に寄り添うような言葉が
強い共感と共に歌われることで、
聞き手であるファンに鋭く響きその心を動かす…

これはもう、アイドルとファンの間に
ある種の共通認識というか、
信頼関係的なものがあることを前提とした演出構造な気がします。


 余談ですが、赤西君留学から帰ってきた直後の
 KAT-TUNのシングル“keep the face”の歌いだし、
 「わがまま言ってたけど ここなら
    you know baby居場所があったし」なんて本当ズルイですよね…
 ユーノウベイビーじゃねえよと思いつつ泣いた想い出よ……
 

それが、あくまで別の世界の出来事のような歌詞の随所に
巧妙に隠されていることで、
ふとした瞬間にはっとして惹きつけられるんですよね。

また、意識か無意識か、
ジャニーズにはその効果を巧みに生かせるアイドルばかりで…

「歌がうまい」とはまた別の次元で、
「歌い方がうまい」というか。

ニクいなぁ、といつも感心してしまいます。


他にも、本当は一言一言拾い上げて撫でまわしたいくらい
ぐっとくる表現のオンパレードなこの曲。

Cメロの「殴るふりして君が僕にくれた」なんかも、
少女漫画のワンシーンのようにすてきで…
しかもそれが何かって「勇気」ですよ?ときめくしか…)

今年のクリエでもどこかで聴くことができるでしょうか?


さぁ、追い風乗って。

描いたすべてを抱きしめる日に辿りつけるよう、
私も私の「未来航海」へ出港する準備を始めようと思います。

 


end.