pua nānā lā

おひさまのような花

◇鼓動

鼓動、この曲名のつけ方がまず好きです。
あまりにシンプルに実直に、生きるということを表していて。

 

そっと自分の心に問いかけ言い聞かせるようなAメロ、
だんだん胸が高鳴りやがてそれが抑えきれずに走りだして、
サビで一気に翼を広げた瞬間に
ばっと視界が開けるようなメロディー変遷に
これ以上ないほどマッチした秀逸な歌詞。


あの空が消え果てたら星を目指してみようか
あの空が消え果ててもいつも笑っていようか


だけど、最初はわからなかったんです。
「辛くても前を向いて。」「転んでも立ち上がれ。」なんて
同じようなメッセージを持つ使い古された言葉がいくつもある中で、
なぜこのフレーズがそれらとは比べ物にならないほどの切実さで
こうも胸に差し迫ってくるのか。

 

考えて考えて、そしてそれは、
そこに「生きることへの覚悟」があるからではないかと。
だからこれほど、痛みを感じるほどに突き刺さり、
目を背けたくなるほどに目映いのではないかと思いました。


わけもわからぬままこの世に生まれ、
何のためにあるのかも知らない毎日を過ごしていく。
生きるってそういう単純なことなんだろうなぁと。

明確な理由や崇高な使命なんてものは皆もともと持ってなくて、
それなのにどんな辛いことがあっても続けなくちゃならなくて。

 

ある意味、それは絶望的なことかもしれません。

燃え尽きそうになるまでその身を焦がして
ぼろぼろになりながら歩いたところで目的地なんてどこにもない…


それでも自分に与えられた命を引き受けて
目一杯、力の限り生きてやれという覚悟がこの歌にはある気がします。


どうして?

だって、


いつまでもこの胸の鼓動 夢に向かって叫んでいるんだろう?


終わらない夢を持ちそれを追いかけ続けることだけが、
始まりやがて終わっていくだけの空虚な人生に
かけがえのない意味を与えてくれるものなのかもしれません。

 

end.

 

 

◇未来航海


「航海」

 

これはもうジャニソンの世界観を作り出すモチーフとして
ひとつ確率されたものであるように思います。

 

すぐに思いつくものだけでも
関ジャニ∞の「旅人」やKAT-TUNの「GOLD」、
それに舞台ANOTHER劇中歌の
「ANOTHER TOMORROW」など…


こんなイメージからなる歌詞の曲は数え切れないほど。


――― 夢を乗せた船に乗り込み、大海原へ漕ぎ出す

そこには一体なにがあるでしょうか。

まず、別れ。
そしてその先に待つのは、非日常・希望・不安・夢・郷愁…

どれもきらきらと若々しい少年の瞳に映ると
より一層美しく輝く宝石のようなものな気がします。

そしてこれこそ、
ジャニーズの世界観であってコンセプトではないかなぁと。


今回の「未来航海」は、まさにそんな一つ一つを
宝箱にぎゅっと詰め込んだような一曲。

ファン心理を掴むための仕組みも隠されていたりして、
ジャニーズそのものがすきだという人なら
無条件にすきになってしまう曲のような気がします。


この歌詞、まず何がいいって歌いだしがものすごくいい。

 

オレンジ色の遠い水平線に
 今日の風吹く 夜明けの海渡ってく

 

この一行だけで、まるで同じ船に乗り込んだみたいに
目の前に朝焼けの海の光景が広がってきませんか?

ふるさとの港はもう見えなくて、大海原のど真ん中。

目覚めてデッキに出ると空はまだ暗いけど、
先に見える水平線の方はもうオレンジ色に明るんできていて
そこにはこれから始まる一日の風が吹いている。

未来への希望が満ちてくる心にふと霞む、
本当にもう戻れないという気持ちと。

 

なんだかもう私はここだけでじんわりきてしまいます。


そして、目指すのは「あの場所」。

いつの頃からかずっと夢見てた、憧れの地。


それがどこかを歌い手に、
そして聞き手の想像に任せるのが、この歌の懐の深さです。

それぞれの心にある目的地へ、
「きっと行けるさ」「きっと行くんだ」と励ます響きが
なんとも頼もしくて、優しくて、あたたかくて。

まだまだ先だと思っていた島も
夕日が沈む頃には地平線の向うに見えてくるんじゃないか…
何だかそんなふうに思えてくるんですよね。


それから、冒頭に書いたある「仕組み」について。

これってジャニソンならではだなぁと思うのが、
歌詞の中にその世界からふっと浮き出るように
歌い手自身の言葉としてとれるような部分があること。

 

一人じゃ見れない夢を見るんだ
この瞳を信じていて

そして、「きっと行くんだ、あの場所へ

歌い手であるアイドルの心情に寄り添うような言葉が
強い共感と共に歌われることで、
聞き手であるファンに鋭く響きその心を動かす…

これはもう、アイドルとファンの間に
ある種の共通認識というか、
信頼関係的なものがあることを前提とした演出構造な気がします。


 余談ですが、赤西君留学から帰ってきた直後の
 KAT-TUNのシングル“keep the face”の歌いだし、
 「わがまま言ってたけど ここなら
    you know baby居場所があったし」なんて本当ズルイですよね…
 ユーノウベイビーじゃねえよと思いつつ泣いた想い出よ……
 

それが、あくまで別の世界の出来事のような歌詞の随所に
巧妙に隠されていることで、
ふとした瞬間にはっとして惹きつけられるんですよね。

また、意識か無意識か、
ジャニーズにはその効果を巧みに生かせるアイドルばかりで…

「歌がうまい」とはまた別の次元で、
「歌い方がうまい」というか。

ニクいなぁ、といつも感心してしまいます。


他にも、本当は一言一言拾い上げて撫でまわしたいくらい
ぐっとくる表現のオンパレードなこの曲。

Cメロの「殴るふりして君が僕にくれた」なんかも、
少女漫画のワンシーンのようにすてきで…
しかもそれが何かって「勇気」ですよ?ときめくしか…)

今年のクリエでもどこかで聴くことができるでしょうか?


さぁ、追い風乗って。

描いたすべてを抱きしめる日に辿りつけるよう、
私も私の「未来航海」へ出港する準備を始めようと思います。

 


end.

 

◇この星のHIKARI


すっきりと甘い感情を歌った歌詞と爽やかで耳触りのいい曲調…

例えるならガラス瓶入りの透きとおったサイダーのようで、
なんだか無条件にきゅんとしてしまうテイストです。


なんだか気になるのは、
初々しさの中に見え隠れするちょっとした「余裕」。

 

瞳の奥にまだ僕はいない 歯がゆさも抱きしめながら

 

なんて、始まったばかりの恋に焦るような心情の中では
なかなか言えないような気がしませんか?


ずっとすぐそばで生きてきて、
お互いのことを見てきて、見守ってきて、知りすぎていて。

だからこそうまく詰められない距離感…

 

こうしている間に、誰かが君の前に現れてしまったら?

でもそんなことを考える時でさえ心のどこかにあるのは、
「君を守れるのは僕しかいない」という自信。

そんな幼馴染のような関係性を想像しながら読みました。

 

もう僕のそばにいたらいい


心の中で握りしめながら、なかなか口に出せない「僕」。

この台詞、一見なんだかぶっきらぼうで
もっと、好きだよとか愛してるとか、言えないの?なんて
女の子ならついつい思ってしまいそう。


でも、それじゃあそもそも、「好き」ってどんな気持ち?

あぁ、自分「恋」をしているなぁと思うのって、
一体どんな時でしょうか。

 

  もっと知りたい、近づきたい、触れたい。

ぱっと浮かんだのはそんな欲求とニアリーイコールの感情。

 

だけど、この曲の中に

なかなか取り出せないビー玉のように閉じ込められた
「僕」が「君」に伝えたい本当の気持ちは、
そういった衝動とは一線を画すもののように思います。


この星に溢れてる光を集めて、永遠に君を照らすよ。

君のすべてを、僕の手で守り続けていくよ。


そんな想いのすべてをぎゅぎゅっと詰めこんだ、
もう僕のそばにいたらいい」という一言…

 

なんと不器用でかわいらしい、そして深い愛情でしょうか。


そう、これはもう「恋」じゃなくて「愛」。

例えば美しい景色を見たときあの人にも見せたいとか、
例えばおいしい物を食べたときあの人にも食べてほしいとか。

 

何かしてあげたい、慈しみたい、守りたい。

 

切ない程にそういう想いがこみ上げる

誰かを乗せて回っているから、

この星はこんなにも光に溢れて見えるのかもしれません。

 

 

end.

 

◇We’ll be together

 

ジャニーさんが自ら作詞した数少ない曲。
初めてそれを知った時には驚きました。

だって、鬼才と呼ばれる彼が
アイドルプロデュースやショー演出で見せる
人々を圧倒させるような奇抜さや眩しい程のの華やかさが
あまりにも影を潜めているから。


素朴で、純粋で、穏やかな詩です。
ポップスの歌詞には珍しい
ですます調の語り口の手触りがとても柔らかくて、
それがまたこころにすっと入ってくるというか。


今日の別れを惜しんで流れてしまう涙や、
通りすぎた季節にどうしようもなく後ろ髪引かれる日。

 

それらを否定せず、受け入れて、
そのうえでふんわりと暖かい毛布でくるんでくれるような優しさと、
ぎゅっと手を握りまた会えるからと囁いてくれるような
頼もしさがあります。


肩をたたかれ振り向いてもそこに落ち葉が舞うだけ

ノックでドアを開けてみてもそれは春風のいたずら


どこかでまた会えたらなぁと思う人、
誰にでもひとりはいるんじゃないかなぁ。

 

人だけじゃなくて、過ぎた思い出や失くしたもののすべてや。

 

普段見えない場所にしまってあるそういう期待を
何かをきっかけにふと思い出してしまった時の
やり場のない切なさやむなしささえも
引き受け、抱きしめて、愛おしむように生きていく日々が
別れた時より素晴らしい場面」に繋がっていくのかもしれません。

 

end.

◇Heavenly Psycho

 

平易なコード進行と凝っているとは言えないアレンジ、
シンプルな言葉で紡がれた歌詞…

平凡だけど、道端に咲く一輪の花のような実直さで
聞く人の心まで照らすような強い光を持った歌です。


気になるのは曲名。

なんとなく耳触りのいい英単語を繋げているものの、
直訳すると多少無理して相応しいと思われる意味をとっても
heavenly=神聖なpsycho=精神と何だかしっくりこない…

当時色々と考えを巡らせてもしっくりこなかったこの言葉が、
実は最近ようやく腑に落ちたんです。


それは某番組で、
ジャニーズJr.がこの曲をカバーしているのを見た時。


イントロに重ねられた
psycho..」という歌詞のリフレインに合わせて
一人ずつの表情を順番に抜くカメラワークで、
それぞれがすごく晴れやかないい顔をしていて。

印象的で、すきだなぁと思って何度も繰り返し聞くうち、

この歌詞が頭の中で
自然と変換されていることに気が付きました。


さぁ、行こう」…
さぁ、行こう」…


それで、あぁ、なるほどと。

きっと本家ファンの方々はとっくに気付いているのだろうし
もしかすると本人たちがどこかで
話したこともあるのかもしれないけど、
私にとっては10年来の謎が解けたという思い。(笑)

そして同時に、今まで見えずにいたこの歌の奥深さ、
イントロとサビに置かれた
この言葉が生み出す立体感に鳥肌が立ちました。

 

「さぁ、行こう」という今この瞬間の決意。


これが先に出てきているからこそ続くAメロの
いつも夢に選ばれないまま 日が昇り沈んでいく日々」が
過去の回顧だということがわかるんだなぁと。


それはまるで映画のようにドラマチックな時間の遡及です。

主人公はもちろん歌声の主で最初のシーンは今このステージ。
曲が始まろうとしたまさにその瞬間、
いままさに掴もうとしている夢を追いかけた日々に遡る映像…


そんなイメージが頭に浮かびました。


そこに自分の姿がなくても簡単に回る世界、
心細さややるせなさに叫んだ声も
空に響いては虚しく消えていきます。

だけどここには必要としてくれる人がいる。
繋いだ手のぬくもりが一人じゃないという勇気をくれる。

 

だから、「さぁ、行こう」。

 

雲が去りぱっと明るい日差しが差してくるような
サビのメロディーと共にたどり着いた今この瞬間という場面、
それを見届ける観客となる私たちのことまでも
手を引いて誘うような頼もしさがこの言葉にはあります。


やっとここまで来たという喜び、
目の前に広がる夢にまで見た景色に自然と溢れる泪。

だけど、今はまだ未来に向かう道の途中。
彼らにとってここはゴールではありません。


心を満たす晴れやかな気持ちと
それに満足せずさらに上を目指そうという思い、
そんな精神状態を作詞者は
heavenlyという形容詞で表したのかなぁと。

そしてそれらがpsychoという単語の響きに
託されているのだということを、
なんだかすっと理解できたんですよね。


踏まれても雨に打たれても耐え忍び、
やがて太陽を見据えて咲いた名もない花が
人の心を励ますように。
 
この素朴な曲とそれを歌う若者の
まだ届かない夢をひたむきに追いかける純粋さは
この先さらに時を経ても尚変わらずに聞く人の心を惹きつけ、
胸が震えるような勇気を与え続けてくれる気がします。

 

end.

 

 

◆もしも伊勢三郎が岸優太だったら。

 ※歴史的事実ではなく義経物語、
 特に2013年の滝沢演舞城に着想を得て執筆しています。

 

二幕、義経一行の物語は三郎役・岸優太のナレーションから始まる。

 

すべてはここから始まった!
百姓だったこの三郎が親方様に付き従い天下取りの夢を見ることができたのも…
すべてはこの五条大橋の出会いから始まった!

 

できる、想像できる。岸くんが目をきらっきらさせてこの台詞言うの!!
ちょんまげ前髪にして、あの黄色っぽい小袖に袴姿で……

彼らが後にどのような運命をたどるのか、歴史の一つとして既に知っている私たちにとって「夢を見ることができた」という表現は切なく響くけれど、ここでは輝く三郎の瞳と同じまなざしで、義経の登場とやがてくる新しい世界を期待に胸を膨らませながら見つめていたい。

 


五条での出会いをきっかけに、義経の郎党となった弁慶と三郎。京の町は三人のたのしい日々と三郎の愛すべき人柄がよく表れる場面だ。2013年の演舞城では、滝沢座長と京本政樹氏に挟まれてやれ顔がでかいだの清水ミチコだのといじられながらも嬉しそうな深澤くんがなんだか幼く見えて、それがかわいくて…。滝沢歌舞伎・演舞城においてはそれまで(限られた出演者からのキャスティングということもあり)義経・弁慶・三郎はほぼ同年代の俳優で演じられてきたが、これを見て、やっぱり弁慶>義経>三郎という年齢のバランスいいなぁ、しっくりくるなぁと思ったのだ。

さて、末っ子ポジションなら、岸くんも得意に違いない。くだけた敬語と臆さない態度、そして無邪気なほどに懐っこくあどけない笑顔でいとも簡単に先輩の懐に入ってみせるあの様子を見ていれば、容易に想像ができるだろう。
……そして、やっぱり。彼が三郎をやるなら、義経役は光一くんしかいないんじゃないだろうか?彼に対する岸くんの純真無垢な憧れや尊敬は、三郎の義経に対するそれに似ている。それに、SHOCKでの初めての地方長期滞在中、部屋を訪ねた座長が去ろうとするのを半ば泣きそうになりながら引き留めたというエピソードなんか聞いてしまうともう……。愛おしさがこみ上げると同時に、「おやかたさまぁ」と光一義経にしっぽを振る優太三郎が頭に浮かんでしまってどうしようもないではないか。どうせ架空の話だ、贅沢すぎるくらいがちょうどいい。

とすると、悩むのが弁慶だ。どうしてもSHOCK色(語呂がいい)が強くなってしまうが、真っ先に思い浮かんだのは屋良くんだった。かたやライバル同士・かたや主人と家来いう間柄ではあっても、元は好敵手であり根本にはお互いへの厚い信頼があるという上では、コウイチとヤラの関係性は義経と弁慶のそれに近いものがある。それこそ、あの夢幻での阿吽の呼吸のパフォーマンス…想像しただけでいい義経と弁慶を演じてくれそうだ。
しかし、この二人では残念ながら前述の弁慶>義経>三郎という構図にはあてはまらない。やはり、せっかく三郎をうんと若い岸くんにするのであれば、一方の弁慶はやはり義経よりも年長者に配役して、三郎の義経に対するあどけない憧れと一回りも年下の義経を認め敬い身を挺して守ろうする弁慶の想いの対比を見たいところだ。
では、植草さんではどうだろう。SHOCKでは父のようにカンパニーを見守るオーナー、本作では天下の大天狗と呼ばれた後白河役のイメージが強いが、あのベテランならではの圧倒的な迫力と優しげなまなざしににじみ出る余裕、そして光一くんとの長い年月を経た信頼関係……。アドリブシーンではコメディーリリーフとして場を和ませたり、なんだか激しさよりも暖かさを感じさせる新しい魅力の弁慶になりそうだ。それにしても「弁慶、お前も大人になったなぁ~」って生意気に植草さんの肩を叩く子ザルのような岸くん…。だめだ、かわいい。

しかし、こんな楽しい日々も長くは続かない。義経と頼朝の仲は景時の讒言も影響して悪化する一方、誤解は解けぬままついに義経討伐の院宣が下り、一行は朝敵として追われる立場になり最期の地平泉へ下ることに。この道中にあるのが歌舞伎十八番で有名なあの「勧進帳」の一場面で、このことで弁慶と義経の主従の絆に改めて感動した三郎は改めて良き主人を持ったことを喜び、いつにない真剣な様子で「自分はこんなに良い主人に恵まれたのだから)あとは良き家来となることか…!」とつぶやく。やめて、そんな死亡フラグは立てなくていいのよ…!と言いたくなる我々の心配をよそに命を捧げる覚悟を固めた三郎に、義経は神妙な面持ちで自らの短刀を授ける。壊れ物のように慎重に受け取り、大切に懐にしまう三郎……。それにしても本当に、台詞や動作のひとつひとつが驚くほど違和感なく、あれ2~3回見たことあったけ?と思うくらい岸くんで再生できてしまうから不思議だ。

 

その後、いよいよ鎌倉軍の追手が迫り、三人は最期の戦いに向かう。

 

別れの時と知った義経が三郎と弁慶に感謝の言葉を伝える場面。

弁慶、三郎、
こうして最後の最後まで付き従うてくれたこと、有り難く思っているぞ。
五条での出会い、昨日のことのようだ。

時折目を閉じ、これまでの日々を回想し噛みしめるように静かに語る義経

三郎、お前のおかげで明るい旅をすることができた。
苦しくも辛い時にあっても、お前にはずいぶんと助けられた。

コウちゃんがユウタにこんなこと言うの、涙なくして見られる人います…?(SHOCK色)

ちなみに弁慶に向けた、

弁慶、お前には苦労をかけた…!様々なこと、よく耐えてくれた。
…弁慶無くして、この義経は無かった!
再び相まみえる折には、我らが旅きっと続けようぞ。

という台詞もものすごくいい。「オーナーのおかげで…」(号泣)

 

そして、ついに三人は散り散りに……。

この別れの後、弁慶と三郎・義経と弁慶は戦火の下でそれぞれ一度再会するが、義経と三郎が生きて会えることはもうない。それを知っているとまた何倍も泣けてしまい、このあたりからはもう瞳にワイパーがほしいくらいひたすら涙が止まらない。

複数の鎌倉軍に追われ、「やっぱり怖いよ~」と言いながらその身軽さでひらりひらりと攻撃をかわす三郎。このあたりも子猿のように身のこなしの軽い岸くんならうまくやりそうだが、これが単なる臆病からではないことは後にわかる。ここではたまたま現れた弁慶に助けられるが、再び戦場に向かう覚悟を背負ったその背中は儚げながらも頼もしく、彼の時間が残り少ないことを知りながらもどうか無事でと祈らずにいられない。


いよいよ三郎の最期。


再び鎌倉軍に迫られ四面楚歌の窮地で、2008年の戸塚三郎は「殿からもらった刀でてめーらのことを切って切って切りまくってやる!」と言わんばかりに決死の奮闘を見せたが、2013年の深澤三郎は違った。心を決めたように短刀を手にするけどそれを抜くことはせず、握りしめたまま…

 

お前らなんかに使えるかーーーー!!!

 

身体一つで敵陣に飛び込んでいくのだ。
まだ…まだ終わんねぇ!!と力を振り絞って素手で戦おうとするが複数の軍勢に敵うはずもなく、四方から攻撃を受けた末に最期は鎌倉軍の悪党半蔵に切られ、息絶えていく…。
その手に握られた刀を血で汚すことを嫌ったのは、殿からもらった宝物を敵に使いたくなかったという理由だけではないだろう。義経は元来無駄な争いを好まなかった。鎌倉の軍勢に囲まれた際に「狙うは景時のみ」として他の者は引くようにと指示したのを見ていた三郎は、義経のこの信念を裏切ることができなかったのだろう。…例え自らの命を投げ打っても。

夢だった…。ずっと夢を見てきた…。
親方様、この三郎、また旅のお供がしとうございます。
弁慶、親方様のこと、頼んだぞ……。

……………義経様ぁーーーー!!


振り絞った最期の言葉は、きっと届いたに違いない。


夢見た世界は潰えるが、三人はきっとまたどこかで巡り会い新たな旅を始めるだろう。

 

◆◆◆

 

義経を題材にした作品が好きだ。


安部龍太郎の「天馬翔ける」は何度も読んだし、滝沢秀明主演の大河ドラマ義経」も毎週欠かさず見ていた。そんな私が、今までで一番泣いた義経作品が「滝沢演舞城2013」だった。これまでの義経作品が主に描いてきた日本が生まれ変わる触媒の役目を果たした義経の英雄性やその鮮烈で悲劇的な運命よりも「主従の絆の強さと美しさ」に焦点を当てる中で、主要な登場人物をあえて義経と彼を深く慕う二人の郎党、そして頼朝・景時をはじめとした鎌倉方の数名というシンプルなキャラクターの配置としたことで、三人の信頼関係やそれぞれの想いを丁寧に書き込み主題を明快にすることに成功していた。

ベテランらしい迫力と父のような優しさで義経軍における弁慶の役割のごとくカンパニーを支えた京本政樹氏と共に、義経に最期の時まで付き従う者の一人として感動を誘ったのが、Snow manの深澤辰哉くんが演じた伊勢三郎だ。正直、この年の演舞城で私が流した涙の8割は、この三郎のためのものだった。それ以降の滝沢歌舞伎を観劇していないことも少なからず影響しているが、毎年桜の季節が近づくとあの年の演舞城と彼の演じた三郎のことを思い出す。

 

今回は3年前に愛おしいとさえ感じたこの役を個人的に適役だと感じている岸優太で再生してみた。今まさに絶賛公演期間中のSHOCK色(しつこい)を添えて…。なぜ岸くんを適役だと感じたのかというと、ガムシャラ!でただひとりドジョウやザリガニをためらいなく鷲掴みにしていた野性的な一面(笑)やSHOCKにおけるジャパネスク屋良軍での衣装・殺陣の形がなんとなく三郎のそれに重なったからというのもあるし、何より2013年三郎を演じた深澤くんの立ち位置やキャラクターと岸くんがなんとなく似ているというか、その場所に彼が入ることをとてもリアルに想像できたからというのが大きい。

 

それにしても、個人的に大好きな二つのジャニーズ演劇作品のコラボレーション、完全に自己満足だが考えているだけで興奮した。もちろん私の中にも義経と言えば滝沢くん!という大前提はあるのだが、容姿端麗で所作美しく殺陣のキレも抜群な光一くん、絶対素敵な義経になるよね…。特に滝沢歌舞伎(演舞城)二幕の脚本は彼の最期の数年を描いている比率が高いから、年齢的にもちょうどいい。それにSHOCKのキャストが徐々に変わっていて、もしかしたら岸くんはもうユウタやらないのかもしれないなぁ…と少々センチメンタルに一年前を懐かしんでる頃でもあったので、コウちゃんとの絡みを久しぶりに見たいという気持ちもこの記事を書きたい衝動を掻き立てたように思う。

 

前述のように、私は岸くんと深澤くんにどこか似た魅力がある気がしている。屈託のない笑顔には愛嬌があり周囲を笑わせるコミカルさも持っているが、なんとなく掴みどころがなく、無邪気なほど懐っこく誰にでも開放的なように見えて、真剣に自分のことを語るのを意識的に避けている節がある。そして、芝居を始めた途端醸し出す独特の透明感とふっと消えてしまいそうな儚さ。ふわふわとしてどうにか捕まえておこうにもそうできないような何か。そういう人に私はどういうわけか感情を揺さぶられ惹かれてしまうんだなぁと、記事を書いていて改めて感じた。気を付けよう…。

 


次の桜が咲くころ京都に行く。
三人が出逢った日もちょうどこんなだっただろうかと、その景色に浸るのが楽しみだ。

 

end.

 

◆ ROAD FROM PLAYZONE…(5)

 

続いては…

 

ROAD FROM PLAYZONE

     ~Where we were & Where we go~

13/15 M.A.D公演

 

【 set list 】

-OVERTURE-

M1 愛なんだ /V6

M2 きっと大丈夫 /嵐

M3 ライバル /Kinki Kids

M4 STARDUST /NEWS

-MC1-

M5 FUNKY FLUSHIN’

M6 カンペキ!

M7 HONEY BEAT

M8 愛されるより愛したい

M9 真夏の夜の花

-MC2-

M10 Get up!/中山優馬

M11 シーサイド・ばいばい /木更津キャッツアイ

M12 雪白の月 /Kinki Kids

M13 君と…Milky Way /Sexy Zone

M14 愛のマタドール~Bonnie Butterfly(松本)

M15 key of life~マイガール(池田)

M16 Diamond /タッキー&翼

M17 Ladyダイヤモンド /Sexy zone

M18 Love so sweet /嵐

M19 愛はタカラモノ /タッキー&翼

M20 Fighting Man /NEWS

M21 PROMISE SONG /KAT-TUN

M22 果てない空 /嵐

ENC1 スキすぎて /Sexy Zone

ENC2 Still../嵐

 

10/9、池田くんの名前が消えた日。

これまで長年ジャニーズのファンをしてきた中で、昨日までスポットライトの当たる場所にいた人たちが音もなく、人知れず去っていくのを何度も見てきました。そしてそのたびに、彼らを応援してきた人たちが呆然と立ち尽くし、どうすることもできないまま流した涙を見てきました。手をつないで歩いてきた彼らの仲間たちが、まるで何事もなかったように振る舞いながら、離した掌を握った拳を見てきました。

彼らがどんな幕切れを望み、どんな気持ちでステージから降りるのか私にはわからないけど。人生における一番輝かしい時間を惜しみなく捧げ、精一杯会社に貢献し、わたしたちを楽しませてくれたタレントが新しい一歩を踏み出す時に、たった一言の挨拶の機会さえも与えられない現状にはどうにもやるせない感情を抱かざるを得ません。

旅立つ本人にとって、

メンバーにとって、

事務所にとって、

そしてファンにとって。

過去を愛し、現在を忘れず、未来に向かっていくきっかけになるような……

最後にそんな一日があったらなぁ、という思いから書きました。

 

 

それでは以下、公演のレポです。

 

 

【M1愛なんだ】

M.A.Dコールが沸き起こる会場に突如聞こえてきたイントロ。

~ダランラン ダランランラダンダン ダランラン ダランランラダンダン…♪~

松本「みんな一緒に!!!!!」

いえ~~~~~~~~~~~~~~~~!!♡

でました、さっそく最高っていうパターン。いまやM.A.Dと言えば!なこの曲、実はあの玉置浩二氏の作曲なんですよね。さすが、テンションの上げ方をわかってらっしゃるよなぁ…。眩しすぎる夢も 時の流れにいつか消えてしまうのかい?なんてなんだか沈みがちな気持ちをYeah~!となかば強引に前に向かせて、半分開き直ったように愛なんだを繰り返す。そんな自らを鼓舞するような、この曲の力強いポジティブさがすきです。二人のPOPだけどしっかり芯のある声が、歌詞にものすごくしっくりくる。「べいべぇ」の発音とか、本当にたまらなくない?(鼻息)知りたいふれたい見つけたい!~もっとすべてが変わるまで!!生歌でも重なって一つの声に聞こえるほどぴったり合ってしまう声は、二人が同じ歩幅で歩いてきた道のりがあるからこそ。一発目から会場はばっちりM.A.Dカラーに染め上げられました。

【M2 きっと大丈夫】

キャッチーなナンバーが続きます!RAP部分ではEnglish speakerなこたくんがばっちり本領発揮。少々チャラっと振る舞っても頭とお育ちの良さがにじみ出てしまうあたり、櫻井くんとこの人って似ているのかもしれない。(ちょっぴりずんぐりした体形も…)客席の\あさーまで!!/の声の揃い具合を聞いて、この界隈って本人たちだけじゃなくてお客様もしっかり「嵐育ち」なんだなぁと、、なんていうか、自然と一緒にここまで来ているんだなぁと、しみじみ思いました。

【M3 ライバル】

二人組ってずるい。二人しかいないって、それだけでドラマチックじゃん、と思ったナンバー。「ぼくを殺してから 羽ばたくならいいよ、なんて」って。伏し目がちに歌う姿。いけたんってどうにもこういう世界観が似合います。肌が透けるように白くて、消えちゃいそうに儚げなげで。楽しい曲からこういうかっこいい曲へのシフトチェンジが一瞬で自然にできちゃうのも、10年選手の貫録。

【M4 STARDUST】

歌詞とか、メロとか、雰囲気とか。全体的に男の子っぽい曲。サビが特にかな。彼らの歌い方って発音がはっきりしてるから、言葉のひとつひとつが際立ってより一層メッセージ性が強くなる気がする。「手のひらを伸ばしたら 未来つかめそうで」って、背中合わせでまっすぐステージライトに手を伸ばす二人がその先の同じ場所を見てるって、この時はまだ信じて疑ってなかったなぁ……。

【MC1】

ご挨拶タイム。ここぞとばかりにこたぴょんピースとウインクと語尾のハートマークの三連コンボをキメてくるこたくん。「平均睡眠時間は8時間だけど、昨日は緊張して6時間しか寝れませんでした!(十分)」ないけたん。何度も「おまたせしました」「待っててくれてありがとう」と嬉しそうに繰り返す二人の笑顔がとても眩しかったのを、今でも鮮明に思い出せる。

松本「それじゃあ今日は最高な一日にしましょう!…まずは、プレゾンメドレー!!

【M5 FUNKY FLUSHIN’】

「?!?!?!?!?!」プレゾンというワードに敏感すぎるこの界隈のヲタクたち。そして、この曲のイントロがかかると皆反射的に扉付近を見てしまうという(笑)でも実際にいったん捌けたふたりが出てきたのは、ステージセンターの階段からでした。いやぁ、それにしてもこの曲のサビって、どんだけでも無限リピートできちゃうよね。山下達郎氏作曲の至極のサウンドに、PZの思い出を添えて。盛り上がらないわけがないですもん。期待を裏切らず途中からは客席降りも…!「この店のNo.1の幸大です♡」感たっぷりに両手に侍らせたオンナをくるくる回すこたくんと、どこかの国の貴公子のように紳士的に女性の手を取ってエスコートするいけたんのギャップがまさにこのユニットの魅力を表しているなぁと。衣装もこの曲で着てたものだったから、青劇にタイムスリップしたみたいで最高に楽しい時間でした。

【M6 カンペキ!】

まず、出逢えるまでからの繋ぎじゃないのが新鮮だった(笑)出だし「そして」とは??みたいな(笑)この曲は、結局のところこたくんの「きっとぜぇえたいべいべ~♪を聴くために見ているみたいなところあるよね(主観)。見学のかじちかんちゅがきゃぴきゃぴしながら超がっつり踊ってたらしいです。かわいいがすぎる……。

【M7 HONEY BEAT】

衣装があの色違いTENGAじゃなかったのは残念だったけどサイリウム芸懐かしくてたのしかった!M.A.D×V6って鉄板だよなぁ。Aメロ→Bメロ→サビの展開といい、歌詞といい、元気にしてくれるのに涙を誘う。優しくてかっこいい彼氏みたいな、いいとこしかないズルイ曲。「誰かのために生きたって、君は君だよ」なんて、ストレス社会で奮闘するすべての人の心のど真ん中に響くフレーズなんじゃないだろうか…?笑って~♪で自らぷにっと指差したこたくんのほっぺの肉厚感がなんともいい感じでした。そして、この曲でもやはり見学席のThey武道がステージの二人に負けじとノリノリで踊っていたとの情報が友達から(笑)まったくPZカンパニーって、ずっと踊ってないと死んじゃうのかよ。マグロかよ。かわいいかよ。すき。

【M8 愛されるより愛したい】

あぁ~~~これもあったなぁ~~~!ってなった曲(笑)だってPZってさ、もう当たり前に全部好きすぎて、「大好き」くらいだとうっかり忘れかけちゃったりするじゃん。「死ぬほど大好き」とか「ものすごく大好き」だけで容量オーバーっていうかさ。でも久しぶりに「大好き」枠のナンバーをじっくり見るとうっっっわ!!!これめちゃくちゃいいな!!!!!って改めて感動したりするじゃん。それだった(長い)「あーいーしたいまーじーで(パパン!)のこたくんの力強いクラップは健フォーラムでも健在。もともと二人組の曲だから、すごくしっくりきていて、大人の魅力たっぷりで最高でした。よく考えたら歌いながらでも同じ振りが踊れるって、冷静に超スゴイよな…。

【M9 真夏の夜の花(+ふぉ~ゆ~、They武道

†┏┛墓┗┓† 

この世に一片の悔いなし。いや、本当に。

イントロがかかった瞬間、「キャーーー!!」って沸き上がるんじゃなくて、はっと息を飲むように静かになった会場。この空気感がすきだったなぁ。なんていうか、会場全体が共有できてる感じ。いろんな思いを。これの歌詞って、前にもほかの記事で書いたけど、たぶん掛け合いじゃなくて一方通行なんだと思うんだよね。だけど二人が交互に歌うとやっぱりなんだか交わるような、でも交わらないような。微妙な感じが切なくてそこもまたよかったり。

…でもってですよ、この曲の演出はあまりにもずるかった。わたしね、ちょうど見学席が見える席だったんですよ。なにせ勢揃いしてるわけじゃないですか。ふぉゆぜい、どうせめっちゃ踊ってるんだろうなぁって思って、なんとなく見たんですよ。そしたらね…?いないんですよ!!!!驚くじゃないですか。え、途中退場?よりによってこんなタイミングで??って、気づいた瞬間からそればっかり気になっちゃって。なんか予定入ってたのかな。でも、せめて、この曲だけでも見ていけばよかったのに。そう思ってた矢先……。

始まりは月明かりの中

咲いた君に振り向いた真夜中

?!…すぐわかりました。いけこたの声じゃない。

するとどこからともなく現れた背の高い二つの影。脇花からステージの中央に向かってくるその声の主は、ふぉ~ゆ~の福田くんと松崎くんでした。思わず変な声でる会場。

儚げな瞳にその香りに 愛してしまった、ひと思いに

続いて引き寄せられるようにゆっくりと歩いてくるThey武道の林くん。

一夜の恋だと知る由もなく山本くん。

身勝手な夢止めることもなく越岡くん。

君の全てを奪い去った…江田くん。

そう、誰にも知られず辰巳くん。

月明かりのようなライトの下、集まる9人。なんだよこれ…泣くよ………。

松本美しく咲いた花のように

池田僕だけのものに落ちるように

変わらない、飾らない、二度と変わることのない

池田言葉なんか必要ない

松本僕は君を離さない

 

ラスサビは揃って、7人は私服のまま超本域のパフォーマンス。

アウトロで、名残惜しげに捌けていくところまでしっかり再現。

会場、†┏┛墓┗┓†

なにいまの、聞いてない!ってぐすぐす鼻水すすりながら余韻に浸っていると………

【MC2(+ふぉ~ゆ~、They武道

いやいやいやいやいや~~~~wwww

先程のもの憂げな男性陣はどこへ?って聞きたくなるテンションでがやがやと一斉にステージに戻ってくるふぉゆぜい。

福田「みなさんどうですか?!調子の方は。」

越岡「どうですかどうですか、楽しんでますか??(ニヤニヤ)」

山本「やばくない今の?!やばくない、ねぇ?!やっばいわ!!」

松本「…待って、乗っ取らないで(笑)」

林「いやーーーにしてもあっついね。」

江田「…ね。」

池田「いや、ちょっと、聞いて…??」

辰巳「ちょ、みんな!!いったんしぃー!ね?これ、M.A.Dのコンサートだから、ね?」

福田「……あれそうでしたっけ?ごめんごめん。」

松本「いやそうだっけじゃないわ(笑)…いや、でもね、実際ありがたいですよ、じつは…」

ここで、幸大くんから、このナンバーが実現した経緯について説明が。

どうしてもこのメンバーで一曲やりたくて、池田くんと二人でお願いしたと。みんなも、忙しいスケジュールの中で快く引き受けてくれたと。M.A.Dは今はふたりだけど、もともとはここにいるメンバーがみんなで守ってきてくれたグループで、単独公演は過去の自分たちの夢でもあったと。だから今日、残ったメンバー全員でその夢を叶えることで、本当の意味でそれぞれが “M.A.D”に区切りをつけて、それぞれの未来にまた一歩進んでいけるんじゃないかと皆で話し合ったと…。

すすり泣く声とともに大きな拍手が沸き起こる会場。なぜか誰よりもうるうるしているザキさん。辰巳くんも「いや~これはずるいわ。みんな泣くなよってかっこよく言いたいとこだけど俺もふっつーに泣いてるわ(笑)」とシャツの袖で涙を拭う。相変わらず「やっばい…」しか言わないやまりょも鼻声。口々に「いろいろ思い出すよねぇ」としみじみしている姿を見て、やっぱりバランスのいい9人だよなぁと思った。歌っても、踊っても、喋っても。この人たちがステージに揃うとこんなに安心感があるのか、と、なんだか改めて驚いたというか。長い間、楽しいこともつらいこともたくさん共有してきた大人の男の子たちの、色んなことを引き受けて乗り越えてきたからこそ醸し出すことができる、穏やかな余裕。そりゃあ沼と呼ばれるわけだ、舞台班。でもこんな心地良い沼ならもういっそ開き直って一生浸かってたい(悟り)。

最後はこたくんの「それじゃあ皆さん、もうすこしだけ9人の “M.A.D”に付き合ってもらえますか?!という問いかけにYesの代わりの歓声を返して、後半戦へ。

【M10 Get up!(+They武道

“Nobody can chain!Now make up your mind!!”

一旦暗転して再びライトがついたときにはふぉ~ゆ~が捌けてて、あとの5人はしっかりサングラス装着wwwいや、かっこいいんだけどさ。なんか個人的にはこういう系統は韓流の方々に任せとけばいいのでは?とか思ってしまうのよ…(笑)それにしても、ダンスは歌いながらなのに相変わらずキレッキレでもうさすがの一言でした。こういう勢いある振りは、いけたんや林くんのようにすらぁっとしているよりも、こたくんや江田くんみたいなわがままBODY()の方がより映えるなぁと感じました。なんていうか勢いが。褒めてます。余談だけど、「イッチバンタイセツナモノウォーーー」のとこすきだ。サビ→Cメロのショートver.だったけど、十分堪能できました。

【M11 シーサイド・ばいばい(+ふぉ~ゆ~、They武道)】

ふぉ~ゆ~再び登場。??って人もいれば、「うわぁぁぁぁぁぁぁぁああ」ってなった人もいるであろうこの曲(私はもちろん後者)、知る人ぞ知る木更津キャッツアイの劇中歌。当時番宣かねてキャスト勢で歌番組でてたのがそれはもう本当に楽しそうで、いかにも男の子!って感じでかわいく大好きだったんだけど、忘れかけていたこの名曲をまさかここで聞けるとは!名選曲にもほどがあるだろぉ!!歌詞が彼らの過去・今・これからとリンクしすぎていて、似合わないサングラスに一度引っ込んだ涙がまた滲む。

かわりばえもない場所に飽きて 当たり前すぎる窓開いて

もーここには帰れない マジでばいばい

それぞれ次第に離れ離れ ばかっぽい顔で別れまたね

もーここには帰れない だからばいばい

エモくなりすぎないぶっきらぼうな言い回しの歌詞が逆にセンチメンタルで秀逸。

松本「フォーラムの景色に!」\やっさいもっさい!!

池田「過ぎていく足並!やっさいもっさい!!

ってここぞとばかりにわいわいがやがやするアラサー集団かわいすぎない??

永遠とか絶対とか言葉なんてもー口にしないよだって大人なんでしょう?

でも絶対に時は僕らを刻み 永遠にしるす俺らの光 ばいばい、またね

RAP部分も超泣かせる歌詞なのに、テンションあがって噛み倒すMCザキにみんな爆笑しちゃう感じもすごい楽しくて、楽しすぎて切どうしようもなく切ない時間が過ぎていく。

いけこたふぉ~ゆ~、They武道ありがとう!!

ふぉゆぜいありがとうございました~~!!!

 

………。

そんなこんなでふぉゆぜいが捌けてからの、再びインターバル。

池田「嵐が去りましたね(にこにこ)」

幸大「嵐だったね~うるさかったね~~(笑)みんな大丈夫??」

池田「大丈夫ですかぁ?(にこにこ)」

そしてここで、グッズの「プレゼント」の説明が(※ROAD FROM PLAYZONE1参照)もちろん9割のお客さんが持参してて口々に\買ったよーーー!!/と。こたくんのウインクといけたんのつぶらな瞳が実写で映し出されたアイマスクを皆が頭につけたり首にかけたりしてる光景はなかなか異様で、「ちょっと待って、冷静に見るとやばいな(笑)怖い(笑)」「こっちみんなwww」「なにこれ??」って説明してほしいのはこっちだよ…状態だったんだけど、こたくんが真剣モードになって「僕たちね、歌がすきなんですよ。プレゾンとかでも、M.A.D二人とも声いいねって褒めてもらうことが結構あって。でね、次のコーナー(コーナー制だったの…?)ではちょっと、ダンスを封印しまして、バラードを聞いて頂くんですけど。感覚って、一つをシャットアウトすると、他が研ぎ澄まされるって言うじゃないですか。…え?嘘じゃねーよ笑(この前列の空気読まずに\うそー!!/とか叫ぶなれなれしい客の距離感に合わせてわがままな彼女をたしなめるように落ち着いた声で答えてあげるやつかっこよすぎるずるい)だから、これからそれを使ってもらって。あ、こうたくんのかっこいい顔が見えないなんてやだ!とか見てない間にいけだくんが台宙してたらどうしよう!って気持ちはわかるんですけどぉ♡、まだ買えてないって人は目をつぶって頂いてね、ぼくらが目あけていいよ~って言うまで……魔法にかかってくれますか?」と。なにそれ…あんまりよくわかんないけどとりあえずかっこいい……。横で終始菩薩笑顔で頷くいけたん。目をハートにして\はぁ~い♡と返事をするオンナたちに「いいこ♡」とか言うこたくん。いざ皆がアイマスクつけると「これ俺らが笑っちゃうなwww」と再び草生やしたりもしつつ、くすくすする会場が二人の「シーーー…」で静まり返ったところであの曲のイントロが…

【M12 雪白の月】

まず、こたくんの言ってたことはほんとでした。目から入ってくる情報がないと、余計なことを考えないというか…より素直に、ダイレクトに、声が脳に響く感じ。これからも時々コンサートで…まぁ、やらないと思うけど(やっぱ顔が見たい気持ちが勝っちゃうよね…笑)でも、悪くないなぁと思った。そして、この曲ですよ。これぞキKinki Kidsなマイナー調と世界観。失恋バラードの王道。「雪白」は文字通り「雪のように白い」色のことを指す言葉だけど、感情のこもった二人の歌声を聴いていると追いつめられるという意味の「切迫」にもかかっているような気がして、なるほどなぁと思ったり…。自分たちで「得意だ」とハードルを上げただけあって(笑)難しい箇所もきれいに歌いこなしてました。サビの入りの「そーらーにー」の絶妙な溜めの揃い方と二人の歌声の心地いい溶け込み具合なんかは、本家に負けずとも劣らずだったんじゃないかなぁ。そしてアウトロが終わって、しばしの沈黙…。え、なにこれ、アイマスクはずしていいの?まだなの??と困惑していると……

【M13 君と…Milky Way

~タラララン タララ タラララン タラン♪ざわざわっとする会場にこぼれだしたピアノの音。とっさに静まる会場。生演奏なのは音の感じでわかって、え、なに、どっちかが弾いてるの…?って、正直アイマスクをとりたくて仕方ない。どうしよ、ちょっとだけ覗いていいかな?(笑)なんて思っていたのも束の間、

時間の鍵が解けた夜空に あんなに星があふれているよ…」

かすかな足音と、こたくんの声。

何?何の曲?なんかよくわかんないけどかっこいい…すき……♡状態の客席。

「「過去と未来を繋ぐものが 僕たちの心にある

かーがーやーくみるっきーうぇーーーーい!!で一気にあ~~~~~ってなる会場。これね、よくわかんないけど聞いたことあるわ。うん。なんだかんだアイマスクつけたまま聞いてた。なんであえてのこのチョイスだったのかはわからないけど、なんか、この曲、めちゃめちゃM.A.Dにあってたね?!

松本「なんでもできる」池田「かならず

きみのためになら

キザな歌詞をさももっともらしく歌いあげるこたくんと、包み込むように優しい声でハモるいけたんのハーモニーがこの上なく心地よくて。違う種類の王子様って感じでとてもよかった…。

そうさ、Just only you……

たっぷり余韻を味わった後のありがとうございました!を合図にそっとアイマスクをとると、徐々にクリアに見えてくる景色の中には、安堵したような表情でピアノに向き合い大きく息を吐くいけたんが。再び沸き起こる拍手にはにかみながらもう一度立ってお辞儀してたけど、その手がまだすこし震えているようで、顔も真っ白で(いつもか)、でもすごくうれしそうで。一気にすべてを把握してなんかもういろんな感情が一気にぶわぁぁぁっとこみ上げつつも、これ以上ないくらい暖かい拍手を送る客席。一体何回ジーンとすればいいんだ今日は…!!

【M14 愛のマタドール~Bonnie Butterfly(松本)】

こたくんソロコーナーは雰囲気一変、彼の魅力を存分に生かせる大人っぽくてセクシーな曲をメドレーで。もうね、王者の貫録を感じましたよ!1曲目は愛マタ、「抱き合うのに、恋なんていらない」by King Kota。まっすーパートの掻き分け奪う熱いキッスも……のエロみがすごすぎてイヤフォンで聴くと毎回本当に不意打ちでキスされたレベルの衝撃を受けるんですが、こたくんはなんていうか、さらに、こう、ねっとりとしていた…。なんつー……。そして、2曲目はこれまた違った色気をまとってのボニバタ。冒頭”If you want to feel the same I do, …“ の流暢な発音はさすが。それをなんでもないように軽くステップ踏みながら歌うから悔しいほどかっこいいよね。この人に「悪い遊びを教えてあげるよ?なんて言われてオチないオンナなんているの?!いないね?!?!…バックに六本木のネオンが見えた数分間。

【M15 Key of life~マイガール

こたソロが終わって暗転した会場、再びライトがつくとメンステ中央の階段上にスタンバイしてたいけたんがいきなり台宙披露!!今まで見た中で一番レベルの高さだった気がするんだけど、あれってギネス申請したりできないの…?思わずひぃって声でてしまったんだけど、当の本人は着地音さえさせずにふわっと降りて歓声と拍手に微笑で応えていたよ…すごい超えてこわい………。1曲目はKAT-TUN中丸君のソロナンバーから。これもどこから引っ張ってきたんだ感すごくて最初びっくりしたんだけど、いけたんの雰囲気にゆっちサウンド(中丸君のソロ特有の女子ドルっぽいメロ×甘切ない歌詞×シャラシャラキラキラ系アレンジを勝手にこう呼んでいる)しっくりきすぎていて!!ギリバラードじゃない、しっとりしてるけど踊れるこの感じってやっぱりいいんだよなぁ。高めのキーも綺麗に歌いこなしてました。2曲目はマイガール。続けて切ないラブソングで攻めてくるなんて。しかも見せる表情がね、伏し目がちなまつ毛が無性に美しくて。悔しさとか悲しさとか懐かしさとか、そういうの全部引き受けて、抱きしめて歩いていく覚悟をした上でそっと優しく微笑んでいるような。本当に笑顔をしていたので、思わず「何アンタいい演技するじゃない!(なぜかオネエ口調)」って。それか、もしかしたら、なにか思い出す恋があるのかしらなんて。どっちにしろ、おいおいいけたんやりよるな……!とのんきに思ったりしていたのだけど………

愛してたこと 愛されてたこと君が教えてくれたkey of life

壊れない過去 きれいな思いで心の中に並べて…」

戻る場所がここではなくとも忘れることはないだろう

とか。

瞳を閉じれば 君と過ごしたあの季節が思い浮かぶ

ありがとうの想いを伝えたいよ そっと君のもとへ

 遠く離れてしまっても思い出に満ちた未来へ

とか。

彼が、誰に向けてこのメッセージを伝えたかったのか。何を思ってこの曲を選び、どういう気持ちで歌ったのか。どうしてあんなに優しい瞳で客席を見たのか。今なら、わかる気がします。

【M16 Diamond】

誰もいなくなったステージをぼんやり見つめながらじんわり暖かい余韻に浸っていると…

I want it love!!!

ドラキュラマントで現れた二人にまた会場ぎゃーーー♡♡♡ですよ。こういう衣装、嫌いなひといるのかね……いないよね………。(※タッキー&翼2011・OUR FUTURE、バックのふぉ~ゆ~参照)「この世界中で僕らだけが見つけた天使のようさ」なんて、こういう中2っぽい世界観の歌を、かっこいい人がかっこよく歌いかっこよく踊ることで最高の状態まで昇華させる現象に名前をつけたい。そして忘れちゃいけないのは、この曲振り付けはあのTravis!!もう、やっぱり一味違うんだよなぁ、どうしても。(決して某サンチェ氏をdisってるわけではありません)オリジナリティーやインパクトがあるのはもちろんだけど、何気ない音の処理のかっこよさがやっぱり際立つんですよね。また、数えきれないほど彼の振りを踊ってきてる二人だから、どこをとっても身体の使い方がこなれているというか、とにかく上手で。「ここすき!」「あーここもいい♡」「わーんいまのもだいすき(泣)」と心の声が思わずだだ漏れてしまったよ…。あと余談だけど、この曲のサビ部分の歌詞で「君のためになってハッピー♪」って箇所突然ずいぶんキュートだなぁと前々から思ってたんだけど、「君のために鳴ってるHEART BEAT」だったのね……なにそれかっこいい……。こたくんのgood pronunciationのおかげで気づけました(笑)最後は\I want it love!!!/で暗転。

【M17 Ladyダイヤモンド

暗転中にマントを脱いで、白シャツボタン全止めに蝶ネクタイ、サスペンダーまで仕込んでずいぶんおっきなおぼっちゃまでちゅね~♡って言いたくなるスタイルでこの曲。キャッチーさが突き抜けてる。なんか、踊れちゃうよねこれ。みんな突拍子もない選曲にあっけにとられつつも一緒にれいでぃ♪れいでぃ♪してました。だいやもん♪のとこでこたぴょんポーズ繰り出すこたくん。パート割は「どうしたんだ、このDokiDoki~」がいけたんだったんだけど、なんか風磨くんパート歌ういけたんって、冷静に考えるとジワらない???

【M18 Love so sweet】

松本(潤ではありません)「ラスト盛り上がっていくぞ~~~!!」

ウォオ、ウォッウォッウォッオ~~イェイイェイイェ~♪

このラストにかけての数曲流れはあれですね、名づけるならスーパーアイドルメドレーですね。SPIN氏の歌詞ってなんにも考えずにさらっと聞いても耳触りがよくて、じっくり聞くとぐっとくる深みがあって、本当にすてきだ。サビの入り、「思い出ずっとずっと、忘れない空」あそこのぐぅっと感情を揺さぶられる感じ、胸のときめきの正体は一体なんなのか…!アレンジとかコード進行には目立った特徴がないかなぁと思うんだけど、それ以外のあらゆる部分、たとえば歌い手自身のパーソナリティーだったり、衣装だったり、振り付けやパフォーマンスだったり、タイアップのイメージだったり。あらゆる要素が絡み合うことではじめて曲が完成するのが、ポップスシーンの面白さだよなぁと改めて。きらっきらスマイルの二人を見てたら、アイドル応援していてヨカッターーー!!!と世界中に叫びたくなりました。

【M19 愛はタカラモノ

スーパーアイドルメドレー3曲目はこちら。いやいや、これも鉄の板ですよ。そして3曲連続お客さんも一緒に踊りましょう系の曲。この曲の中盤あたりでそろそろ腕に乳酸たまってヤベェってなってたババアは私だけですか…?体操のおにいさんっぽいいけたんと、おばさんキラーのエアロビトレーナーっぽいこたくん両者とも大変すてきでした!「基本Goin’で…」\イっちゃって!!!/ではかじちかんちゅの声がわりと盛大に会場に響き渡ったり。ピンポイントだけど、ことのは~♪のとこの振りがなんかすきで見るたび滾る。こたくんの二の腕みてちょっと謎クリエのモロササイズ思い出したのは内緒です…♡

【M20 Fighting Man】

こうやってさ、コンサート終盤に盛り上がる曲が続くとさ、わくわくするし楽しいんだけど、同時に「やばい終わっちゃう><」っていう焦燥感でセンチメンタルな気分にならない?なんか、きゃーきゃー盛り上がりつつ心のどこかでしんみりしてしまうというか。まさにそんな気分で聴いてたこの曲。

Don’t think feel! Bring it on!!

池田「時は止まらないから」池田「覚悟決めてこうぜ

ここでも炸裂するこたくんのウインクビーム。怒涛のラストスパートも佳境に入り、会場の盛り上がりはいよいよ最高潮になっていたのですが……。

【M21 PROMISE SONG】

曲入り前にこの曲のオルゴールverが流れる中で挨拶。

松本「みなさん、本日は誠にありがとうございました!!」沸き上がる拍手。.

松本「えー…突然ですが。ここで、相方の池田から、すこし皆さんに……お話をさせてください。」

なんだかこの場にそぐわないような畏まった空気にざわざわっとする会場。え、なに……?

池田「はい……、改めまして、みなさん、今日は本っっ当にありがとうございました!!」拍手。

たのしかったですか?といつものようにニコニコ客席に声をかけたあと、少し詰まりながら、それでも穏やかに話し始めた彼の言葉。その内容は、きっとそこにいる誰もがすぐに信じることができないものでした。

この公演が終わったら、事務所を退所すると。なんだか呆然としてしまって、周りはみんな泣きだしてて。あんまりちゃんと覚えてはないんだけど、彼はしっかりとマイクを握って、ステージの真ん中でいっぱいにスポットライトを浴びて、これまでの活動のこと、仲間やファンの人に対する想い、そしてたった一人残していく「メンバー」のことについて短い言葉で語った。こんな冗談言うわけないのはわかってるはずなのになんだかどうしてもぴんとこなくて、思わずステージの隅っこで見守るこたくんの表情からその真偽を読み取ろうとしてみたけど、その目を見て「あぁ、本当なんだ」って思った。二人はしっかり向き合って、別々の道を歩いていくことを決めたんだなぁって。話し終えた彼が「そんな泣かないでよ」とでも言いたげにちょっと気恥ずかしそうに眉を下げて笑った後お辞儀すると、会場はもうみんな声あげて泣いてて、このままじゃ水たまりできちゃうんじゃないかなってくらいで。そんな中、入れ替わるようにステージの真ん中に立ったこたくん。

松本「みなさん、改めて今日はありがとうございました!……大丈夫?泣きすぎだよ??そんなに泣いたらせっかく可愛くしてきてくれてるのに台無しだよ?(笑)」

涙は止まらないけど、いつもと同じテンションのこたくんになんだかほっとしてちょっとくすくすしたファンの子たちを見て、こたくんも一瞬安心したように微笑って、そのあと、覚悟を決めたように一呼吸置いて話し出す。このことは、いけたんから相談を受けて、二人でもたくさん話しあって、その上でお互いの意思を尊重することにしたと。今後のことはまだわからないけど、自分はこれからも事務所に残って活動を続けると。最後に「M.A.Dの公演は、もしかしたら、今回が最後になるかもしれないけど!皆さん松本幸大をこれからもよろしくお願いします!!」潔く頭を下げ深々とお辞儀をしたあと、顔をあげてこたぴょんポーズするこたくんがいけたんの方に歩み寄り、肩を組んで再びステージの真ん中にふたりでもどってくると会場からは今日一番の拍手が。「がんばって」とか「おつかれさま」なんて軽率に声をかけられない、だけど、ふたりの全てを称えたい。そんな気持ちを込めて、精一杯に。きっと、客席みんなが同じ気持ちだったんじゃないかなぁ。これだから、舞台班の現場ってやっぱりすきだ。堪えきれないとでも言うように涙を流しながら二人を見守っていた見学席の面々も拍手を盛大な贈る中、こたくんから「それじゃあ最後まで、楽しんでいってください。PROMISE SONG…」と紹介があり、曲へ。

FAREWELL別々の道で 同じ色の花をまた探そうよ

  道に迷いくじけそうなときに しるしになるように…

時々自然に視線を交わしながら、お互いに向けるように。しっとりとでも力強い二人の声が重なって、この瞬間を名残惜しむように会場に響き漂う。

【M22 果てない空

本編ラストはこの曲。

積み重ねた言い訳より ありのままを信じてみよう

  嘘だらけの幸せより 素顔のまま微笑んでいよう

大人の男の人が、自分の手で未来を選ぶ瞬間。額に汗が煌めいても目に涙が光ることはなくて、笑っていて、あぁ、なんてかっこいいんだろうって。

飛べない自分を変えていこうか

  踏み出して何度でもやり直そう

違う未来を見つめながら同じ色に輝く二人の瞳に、それぞれの果てない空が映るのを見た。

 

【ENC1 スキすぎて】

センチメンタルな空気を一掃する破壊力の今回の課題曲(笑)

泣きすぎてぼろぼろになった顔のまま必死に腕ぐるぐるする若い女性の集いとは……

あいあいらびゅー♡

松本「いいから俺についてこいよ(イケボ)キャ------!♡♡

あいあいらびゅー♡

池田「みんなの笑顔忘れないよ(ニコッ)ウワーーーーーーーーーン><

あいあいらびゅー♡

いけこたいままでM.A.Dをありがとうございましたー!!

もう悲しいのか楽しいのかわからないし、本格的に腕パンパンだしでだいぶ混沌とした感情のまま、M.A.D最初で最後の単独公演は本当に本当にラストの一曲へ。

【ENC2 still..】

イントロがかかるともうそれだけで泣き崩れる会場。

この日のお客さんたちは、きっとこの数十分間一生分の涙を流したに違いない

松本「君は君でっかく描いて

池田「僕はここから成功を願ってる

松本「待ってるだけじゃ明日はないから

池田「動いたここじゃまらないから

向き合って歌う二人。

松本「先の見えない暗い道路も それがたとえ迂回路でも

池田「今は少し二人ともつらい表情しまっておこう

 

背中合わせになる。ちぐはぐなようで絶妙な、このバランスがすきだった。

どうか二人のこれからの日々が、

思い出よりもっともっと美しいものでありますように。 

 

抱えたものの多さに潰れそうなその日は思い出して

ずっと繋いできたその手は嘘じゃないから

戻れるはずもない日が愛おしいよ

でも明日も僕たちを待っている

何処へだってまだいける…

  

池田くんの4695日間と、

二人の守ってきた“M.A.D”に敬意を表して。

 

現場からは以上です!!

  

 

end.